4月は人の流れの激しい季節です。うちの塾では、塾講師になるためのステップとして1次でオーナーと面接及び指導科目の筆記試験が必須となっています。そしてオーナーの面接の印象が悪くなく、学力的によほど低くない限りは採用という流れになっています。2次のステップとしては、講師どうしで、ロールプレイをやることになっています。そこで冒頭のオーナ-のセリフ。英語のロールプレイを担当しているのは自分なので、このセリフはよく聞くのだけど…
「中国人からの留学生講師でね…場合によっては、ロールプレイを2回実施してもよいのではないかなと…」
とりあえず、履歴書を見せてもらうと資格の欄に日本語検定N2と書いてある。うーん、これ確かN1が最も高いレベルだったよな。英検でいうと準1級。向こうの大学を出て日本語学校の経歴が書き連ねてあって、TOEICが750点。これ、日本の大学生だとなかなかとれない水準のレベルだと思うんだが、とりあえずこの履歴書だけでは何もわからないので、この日は実際にロールプレイの実施日だけ決めることに留めたのでした。
このテの応募は、たいてい日本のアルバイトの労務管理とは少し毛色が違うので、事務的な面で経営サイドがすごく雇うことを嫌がるんですが、うちのオーナーはそういうことに対しては寛大だななんて思ってしまう。裏を返せばそれだけ人手が足りていないということなんだろうけども…。
帰って日本語資格N2という項目を調べると、日本語でのコミュニケーションは差支えなく取れるレベル。新聞などの日常的な文章が読めたり書けたりできると書いてあった。報告書の作成業務なんかも問題ないかな。指導科目は英語のみ。指導教材を※フォレスタに切り替えたばかりなので、もしかしたら絶交のタイミングかもなあと思っていた。
※誰でも指導ができることがウリの塾テキスト。うちの塾では今年から採用した。
そして迎えた当日。ロールプレイを始める前に緊張をほごすためにいくつかこちらから質問してみた。聞けば、将来TOEICを教えるような講師になりたくて、応募したんだとどか、日本語検定もいずれN1を取りたいとか、日本語は敬語がいちばん難しいとのこと、そういえば、指示を出すとき、よくかしこまりました。とよく言ってたな。後でオーナーに直されていましたが。
というわけで、早速ロールプレイがスタート。このロールプレイは生徒役に扮した自分の愚痴を聞いてもらうことから始まります(笑)
「○○先生聞いてくれよ。うちの学校の英語のT先生なんだけど、とんでもなくえげつない難易度のテストを出して、解答用紙に×をつけまくって喜びにふけるようなサディスティックな先生なんだ。俺ふだん、英語※北辰の偏差値だったら55は切ったことないんだけど、今回のテストに限っては平均行かなくて…それであまりに難しくて、ちょっと復習ひとりでできそうもないから解説をお願いしたいんだ。」
※実際にあったお話です。
こんな流れから始まります。新人講師のロールプレイで俺が観たいのは1つだけ
目の前の解説しなければならない問題に対してどれだけ準備(予習)をしてきたか
端的にいえば、これだけを観ています。そもそもわかりやすい授業なんて、全く期待していないし、こちらがよくある生徒の質問を容赦なく代弁していくスタイルなので。で、ちゃんと準備をしてきた講師ほど、わかりやすい授業になるというカラクリがある。少なくともこれだけ難しいとちゃんと準備しないと化けの皮だったら剥がれるからね。
で、肝心のロールプレイのできはどうだったのかというと、これが素晴らしくわかりやすかった。文法の重要事項を確認しながら間違っている選択肢をバッサバッサ薙ぎ払っていくスタイル。途中、書き込みの量がびっしりと書かれていて驚いた。最後に学生講師にどれぐらい準備したかの平均をとると一時間ぐらいが多い。ただ、この留学生講師の場合はおそらく三時間以上かけている。それぐらい丁寧に予習されていた。多少、日本語の面でちょっと拙い点もあったが、その点は割り引いてオーナーに二回目のロールプレイは必要ないと報告した。
昨今、これだけグローバル化や少子化が叫ばれている世の中だ。きっと、子供たちの中にもいつか異国の人と一緒に仕事をしたりする機会や環境に置かれることは今後そう珍しいことではなくなるだろう。日本人の悪いクセとしては閉鎖的な面があるので、あとは保護者が理解を示してくれれば、この留学生の塾講師かなり優秀な指導者になれると思う。
というわけで、最後にアドバイスをする際、ちょっとレベル高めのアドバイス
「授業を受けるって、漢字でこう書くよね…授の字にてへんがつくのはどうしてかな?」
「手を使うからですか?」
「うん。それもあるね。でも、もっと大事なのは実は講師や先生は指示を出しているの。それを生徒側が受け取っているの。だけど、できない子達っていうのはこれを受け取りそこねちゃうんだ。」
実際には、もう少し具体例を出して伝えたような気もしますが…。これを理解してくれること事態レベルが高い証。経営学では人材のことをあえて人財と書いたりもする。とても貴重な経験をしたと思う。間違いなく、今後高いレベルで成長が見込める講師だろう。もしかしたら色々不憫な経験をするかもしれないが、それに負けずに頑張ってほしい。
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